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Memsourceは初めてですか?

Memsourceの従業員が全世界で200名を超えました。創業者でCEOのDavid Čaněkから、この節目を迎えるにあたってのメッセージをお伝えします。
2010年8月、私はプラハでMemsourceを設立し、その年の末に会社のメンバーは3名になりました。それから月日が流れた2021年。Memsourceは32の国籍を持つ200名からなるチームへと成長し、欧州、米国、アジアに拠点を置いてビジネスを展開するようになりました。
Memsourceは設立から10年間は自己資金で事業を続けました。プラハのアパートを担保に銀行から借りた資金をもとに、お客様からいただいた収益と無駄のないスリムな組織を生かして、成長を続けることができました。
実は当初、開発を目指していた製品はオーサリングツールでした。ですが、すぐに翻訳プラットフォームの開発へと方針を転換しました。2010年当時の翻訳ツールといえばデスクトップ型が中心で、それ以外にはクライアントサーバー型の製品がいくつかあるくらいでした。一方、テクノロジー分野では、ちょうどクラウド化の動きが活発化し始めていました。そこで、これからはクラウド型の翻訳プラットフォームに可能性があるのでは、と考えたのです。
Michal Kebrt、Lukas Stanek、そして私の、たった3名でクラウドベースの製品を作ろうというのは、無謀な試みだと思われたかもしれません。自分たちでもそれはわかっていましたが、それでもどうにか2011年の初めに、Memsourceの最初のバージョンを世に出すことができました。そして、Josef Kubovskyが最初の営業担当者としてチームに加わりました。ただ当初は、実績のある他社に対抗して販売していくのに苦労しました。製品を売り込むと、よくこのような反応が返ってきたものです。「世の中に翻訳ツールはすでにたくさんあるのに、なぜまた新しいものが必要なんだい?」。 私たちからの回答はこうでした。「クラウド型のツールだというところに存在価値があるはずです」。やがてローカライズ業界の中でも、この考えへの賛同が広がっていきました。
2012年にロシアの翻訳会社と初めての有料契約を結んで以来、次々とMemsourceのお客様は増えていきました。また、同じ2012年には、ドイツのハンブルグでも重要な出来事がありました。Frederik Vollert、Wolfram Graetz、Tobias Schwabの3名が、後にPhraseの名で知られるようになるソフトウェアローカライゼーションツールの開発を開始したのです。その9年後の2021年に、MemsourceとPhraseは提携することになるわけですが、それについては後ほどお話しします。
そうこうしているうちにも、Memsourceのお客様は増え続け、2013年には黒字化を達成しました。SaaS事業のメリットのひとつはサブスクリプション型の収益モデルを採用できることですが、実際、お客様が前払いしてくれるサービス料金が成長の原動力となりました。私たちは余剰資金をすべてチームの成長に投資し、当初の3名から2014年には15名のチーム(とはいえ、まだ十分スリムな組織ですが)にまで成長しました。
当初のお客様は、中小から大規模の翻訳会社が中心でした。翻訳会社のお客様は当社の技術をよく理解してくれ、比較的スムーズに製品を使用していただけました。販売サイクルも比較的短いものでした。このため、スリムなチーム構成でもうまく対応できました。当時の社内には、たとえばオンボーディングチームなどはまだなかったのです。2016年ごろには、Memsourceは翻訳会社向けのクラウド型CAT(翻訳支援)ツールとして、世界的にもトップレベルになっていました。従来のデスクトップ型やクライアントサーバー型の製品は、運用やライセンス管理の面で課題があったのですが、Memsourceはそれらを解決するツールとして、従来製品を上回るスピードで成長できたのです。
翻訳会社のお客様への販売が伸びていったのは心強いことでした。同時に私たちは、Memsourceには翻訳サプライチェーン全体のプラットフォームになる力があると考えました。チェーンの頂点に位置するのはグローバル企業です。そこで2016年、グローバル展開する企業のお客様に重点的にアプローチすることを決め、新しいチームを加えました。カスタマーサクセス、ソリューションアーキテクト、オンボーディング、エンタープライズセールスなどのチームです。それが実を結び、2017年、Uberがグローバルローカライゼーションのテクノロジーベンダーとして、Memsourceを選んでくれました。Zendesk、Shopify、Supercell、Fujifilmなど数々のグローバルブランドもそれに続きました。
このようなことを背景に、2017年から2019年にかけて、Memsourceのメンバーは50名から100名へと拡大しました。また、社内にAIチームを作り、2018年には、翻訳不可能な箇所を識別する初のAI機能をリリースしました。これは翻訳コンテンツの中に含まれる、実際には訳出すべきではない箇所(商品コード、名称、メールアドレス、URLなど)を、AIが自動的に識別するものです。米国で特許を取得したこの機能は、翻訳にかかる時間や労力、コストの削減に貢献しました。これに続いて、ローカライゼーションの効率化に焦点を当てたAI機能が続々と追加されました。たとえば、リンギストの自動割り当て、機械翻訳の品質評価、コンテンツに応じた最適な機械翻訳エンジンの自動選択、カスタム機械翻訳エンジン用トレーニングデータの自動整備といった機能です。
自己資金で設立された当社は、平均して年率60%の成長を遂げてきました。そして2020年7月、2600億ドルを超える運用資産を持つ世界的な投資会社カーライル・グループとの提携を決めました。2020年末にはカーライルの支援のもと、ハンブルグを拠点とするスタートアップであり、業界をリードするソフトウェアローカライゼーションプラットフォーム開発企業であるPhraseとも提携しました。そして2021年、私たちは総勢200名を超えるチームになりました。Phraseのチームとともに、ローカライゼーション業界の変革を目指す私たちの旅の新しい章が幕を開けたのです。